一般社団法人 日本道経会

日本道経会の主張

繁栄と永続へのもう一つの車輪

日本は、70年前に戦後の混乱から奇跡的な建て直しをはかり、世界第3位の経済大国となりました。

しかし、このような繁栄をもたらした利益至上主義経済は、新しい世紀を迎えようとする現代社会に、さまざまな混乱と悪影響を及ぼしています。

経済の歴史をひもといてみると、永続的な発展を実現している企業は、共通してすぐれた経営哲学や道徳に基づく経営理念が存在しています。

アイディアや情報、財産や社会的地位などの力をもって一時的な成功を収める人も大勢いましたが、永続的な繁栄には至っていないようです。

複雑化、グローバル化する現在の経済情勢において、企業が生き残って今後さらに発展するために、経済行為の結果である「利潤」を追い求めるあまり忘れがちであった、企業の品格(社徳)に焦点を当てて考えてみたいものです。

先行き不透明な社会における企業経営は、「経済」だけという一つの車輪で走る不安定な経営に加え、もう一つの車輪として、「社徳」を培うすぐれた道徳性を企業経営に据えて、道徳と経済の両輪をもって安定した企業を営んでゆくことが必要なことと考えます。

道徳・経済一体

道徳経済一体の理念は、経済の安定的で調和的な発展を実現するため、法学博士廣池千九郎(1866-1938)が、自然と社会と人間のすべての領域にわたる総合的な研究によって、道徳と経済との関係を明示したものです。

この理念による経済活動は、単に自己の利益のみの追求ではなく、すぐれた道徳性に基づく営みが、人間の生命と精神を正しく生かし発展させ、究極的には、道徳と経済が一体両面をなす人類進化の道に通じていることを意味しています。

三方よしの経営

三方よしの経営とは、国家・社会はもちろん、顧客・取引先・従業員・株主など、企業をとりまく人々の幸福の実現に努力していくことです。

「相手によく、社会によく、結果として自らも公正な利益を得る」、換言すれば、共存・共栄・共生の経営によって、人々の精神的、物質的生活の充実に貢献することです。

三方よしの経営とは、このような相互扶助に依拠した道徳的経営によってもたらされた利益が、企業の生命力の根源となるという考え方に基づいた経営法です。

品性資本

「企業は人なり、人は品性なり」といわれます。品性は徳とも呼ばれ、道徳的な心遣いと行為の積み重ねによって形成される卓越した能力であり、それは人格の中心をなすものです。

品性資本とは、企業を構成する人たちの品性が集まって形成される企業の重要な資本であり、社徳ともいわれるものです。この「品性資本」を蓄積することは、企業の創造的、永続的な生命力を強化することになります。