長崎支部 11月例会
- 事業部長
令和6年11月21日(木)株式会社ことほぎの白駒妃登美氏による講演『江戸の商人に学ぶ“商売繁盛”の極意』を開催しました。
子宮頸がんに罹患し、数年後転移を知った白駒氏は何のために生きるのか迷います。正岡子規の闘病に学び、未来を恐れず過去を悔まず、大切な人を笑顔にするために生きようと決意し、人に受け継がれる志の歴史が日本の歴史であるとの考えで活動をされています。
白駒氏が若者に問う言葉、それは「かけがえのない命、その命にかえても守りたいものはありますか?そんな大事なものに出会ってください」です。本当に命に変えても大事なものを持つべきだと説きます。
当時外国人が描写した幸福感に包まれた民の様子や、江戸の庶民は奢侈禁止令が出るほど生き生きと贅沢を楽しみ、その反面廃棄物を再利用する循環型社会でもありました。
朝飯前のご近所見回りの慣習から分かるのは、稼ぎ3割、仕事7割の言葉があらわすように、稼ぎと働きを別として主に誰かのために仕事をすることです。
足を踏まれて、「いえいえこちらも迂闊でしたので」の『迂闊謝り』を現代社会にも広めたい白駒氏は、粋と野暮についても語りました。二百年続く企業の半数以上が日本にあります。江戸の商人の哲学から導き出した四つの要素が、ものづくり、仕組みづくり、人づくり、そして経営者の精神です。
日本のものづくりに関しては、グローバル基準の低い方に合わせるな、国際化とグローバル化は違う、と白駒氏は力説します。富山の薬売りは薩摩藩との昆布の交易などの仕組みを作り、江戸寺子屋は見る聞く考える話す実践を最重視した起業家養成所でした。江戸の経営者は神社で「諸国客衆繁盛」を願いました。利他の精神です。
白駒氏は、成長や発展でなく永続性というものを目指したときに、日本の経済はまだ元気を出せるし、そんな寛容性のある社会だからこそ日本人は生き方としても輝いていくのではないかと締め括りました。